物件の購入を検討しているエリアがどのような地域なのか。
「用途地域」を確認すれば、ある程度どんな規模の建物が建つ可能性があるのか知ることができます。
今回は、今後物件を購入する上で、知っておきたい知識を解説します。
用途地域とは
建築できる建物の用途等を定めた地域。都市計画法に基づく制度です。
簡単にいえば「この地域は、指定した用途で使ってください」という地域のことです。
用途地域の指定が無いと、自宅の隣に工場、ゴルフ場、パチンコ屋など今後建てられる可能性があり、後々後悔するかもしれませんので、きちんと把握しておきましょう。
このように用途地域は、使用目的に合うように市町村が指定し、全13種類の地域に分かれており、種類ごとに建築できる建物の用途、容積率、建ぺい率などの建築規制が定められている。
それぞれ順番に見ていきましょう。
住居系用途地域
第一種低層住居専用地域
「低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」と定義されています。
建ぺい率の限度は30%~60%、容積率の限度は50%~200%の範囲で指定されています。
また、良好な住環境を確保する為、建築物の高さは10m(または12m)以下に制限されています。
これを「絶対高さの制限」と言います。
この用途地域の詳細は以下の通りです。
建築できるもの
1.住宅、共同住宅、宿舎、下宿、図書館
2.幼稚園、小学校、中学校、高校、公衆浴場、老人ホーム
建築できないもの
1.大学、専修学校、病院
2.店舗
3.事務所
4.工場
5.ホテル・旅館
6.遊戯施設・風俗施設
7.自動車教習所
8.倉庫業の倉庫
第二種低層住居専用地域
「主として低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」と定義されています。
建ぺい率の限度は30%~60%、容積率の限度は50%~200%の範囲で指定されています。
建築物の高さは、第一種と同様、10m(または12m)以下に制限されています。
建築できるもの
1.住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、図書館
2.幼稚園、小学校、中学校、高校、公衆浴場、老人ホーム
3.店舗(日用品販売店舗、喫茶店、理髪店等のみ)
4.2階以下で作業場の面積が50平方メートル以下のパン屋等の工場
建築できないもの
1.大学、専修学校、病院
2.上記に挙げたもの以外の店舗
3.事務所
4.上記に挙げたもの以外の工場
5.ホテル・旅館
6.遊戯施設・風俗施設
7.自動車教習所
8.倉庫業の倉庫
第一種と違う点は、業種の制限はありますが、店舗を建築することができます。
第一種中高層住居専用地域
「中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」と定義されています。
建ぺい率の限度は30%~60%、容積率の限度は100%~500%の範囲で指定されています。
建築できるもの
1.住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、図書館
2.幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、専修学校、病院、公衆浴場、老人ホーム
3.店舗(日用品販売店舗、喫茶店、理髪店、物品販売店舗、飲食店、銀行など)
4.2階以下で作業場の面積が50平方メートル以下のパン屋等の工場
建築できないもの
1.上記に挙げたもの以外の店舗
2.事務所
3.上記に挙げたもの以外の工場
4.ホテル・旅館
5.遊戯施設・風俗施設
6.自動車教習所
7.倉庫業の倉庫
第一種・二種の低層住居専用地域と比べ、建築可能な店舗が増えます。
第二種中高層住居専用地域
「主として中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」と定義されています。
建ぺい率の限度は第一種同様、30%~60%、容積率の限度は100%~500%の範囲で指定されています。
建築できるもの
1.住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、図書館
2.幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、専修学校、病院、公衆浴場、老人ホーム
3.店舗(2階以下かつ1,500平方メートル以下のものに限る。すべての業種が可能)
4.事務所(2階以下かつ1,500平方メートル以下のものに限る)
5.2階以下で作業場の面積が50平方メートル以下のパン屋等の工場
建築できないもの
1.上記に挙げたもの以外の店舗
2.上記に挙げたもの以外の事務所
3.上記に挙げたもの以外の工場
4.ホテル・旅館
5.遊戯施設・風俗施設
6.自動車教習所
7.倉庫業の倉庫
第一種とは異なり、店舗の業種は問わず建築できます。
第一種住居地域
「住居の環境を保護するため定める地域」と定義されています。
建ぺい率の限度は50%、60%、80%で容積率の限度は100%~500%の範囲で指定されています。
建築できるもの
1.住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、図書館
2.幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、専修学校、病院、公衆浴場、老人ホーム
3.店舗(3,000平方メートル以下のものに限る)
4.事務所(3,000平方メートル以下のものに限る)
5.危険や環境悪化の恐れが非常に少ない作業場面積が50平方メートル以下の工場
6.ホテル・旅館(3,000平方メートル以下のものに限る)、
7.ボーリング場・スケート場・ゴルフ練習場等(3,000平方メートル以下のものに限る)
8.自動車教習所(3,000平方メートル以下のものに限る)
建築できないもの
1.上記に挙げたもの以外の店舗
2.上記に挙げたもの以外の事務所
3.上記に挙げたもの以外の工場
4.上記に挙げたもの以外のホテル・旅館
5.上記に挙げたもの以外の遊戯施設・風俗施設
6.上記に挙げたもの以外の自動車教習所
7.倉庫業の倉庫
第二種住居地域
「主として住居の環境を保護するため定める地域」と定義されています。
建ぺい率の限度は、第一種同様50%、60%、80%で容積率の限度は100%~500%の範囲で指定されています。
建築できるもの
1.住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、図書館
2.幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、専修学校、病院、公衆浴場、老人ホーム
3.店舗等(床面積1万m²以下)
4.事務所等
5.危険や環境悪化の恐れが非常に少ない作業場面積が50平方メートル以下の工場
6.ホテル・旅館
7.ボーリング場・スケート場・ゴルフ練習場・カラオケボックス・パチンコ屋・麻雀屋等(業種によっては床面積1万m²以下)
8.自動車教習所
建築できないもの
1.上記に挙げたもの以外の工場
2.上記に挙げたもの以外の遊戯施設・風俗施設
3.倉庫業の倉庫
第一種に比べ、制限が緩和されているのが分かります。
準住居地域
「道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するため定める地域」と定義されています。
建ぺい率の限度は、住居地域同様50%、60%、80%で容積率の限度は100%~500%の範囲で指定されています。
建築できるもの
1.住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、図書館
2.幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、専修学校、病院、公衆浴場、老人ホーム
3.店舗等(床面積1万m²以下)
4.事務所等
5.危険や環境悪化の恐れが非常に少ない作業場面積が50平方メートル以下の工場
6.ホテル・旅館
7.ボーリング場・スケート場・ゴルフ練習場・カラオケボックス・パチンコ屋・麻雀屋等(業種によっては床面積1万m²以下)、客席が200平方メートル未満のミニシアター
8.自動車教習所
9.倉庫業の倉庫
建築できないもの
1.上記に挙げたもの以外の工場
2.上記に挙げたもの以外の遊戯施設・風俗施設
工場の建築が可能になり地域になります。
田園住居地域
「農業の利用の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するために定める地域」と定義されています。
この地域には以下の制限があります。
開発規制
農地内で、土地の形質の変更、建築物・工作物の建築、一定の土石等の堆積を行おうとする場合は、市町村長の許可を必要となります。
市町村長は、規模300㎡未満の行為については許可しなければなりません。
建築規制
1.区域内での建築は、低層住居専用地域と同様、住宅、老人ホーム、診療所等、又は農業用施設(農業の利便増進に必要な店舗・飲食店等で面積500平方メートル以内のもの、農産物の生産・集荷・処理・貯蔵に供するもの、農産物の生産資材の貯蔵に供するもの)に限る。
2.容積率、建ぺい率、高さ、外壁後退を、低層住居専用地域と同様の制限があります。
これによって、日影等の影響を受けずに営農継続が可能となります。
近隣商業地域
「近隣の住宅地の住民に対する日用品の供給を行うことを主たる内容とする商業その他の業務の利便を増進するため定める地域」と定義されています。
建ぺい率の限度は、60%または80%で容積率の限度は100%~500%の範囲で指定されています。
建築できるもの
1.住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、図書館
2.幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、専修学校、病院、公衆浴場、老人ホーム
3.店舗等
4.事務所等
5.危険や環境悪化の恐れが少ない作業場面積が150平方メートル以下の工場
6.ホテル・旅館
7.ボーリング場・スケート場・ゴルフ練習場・カラオケボックス・パチンコ屋・麻雀屋等、客席が200平方メートル未満のミニシアター
8.自動車教習所
9.倉庫業の倉庫
建築できないもの
1.上記に挙げたもの以外の工場
2.上記に挙げたもの以外の遊戯施設・風俗施設
商業地域
「主として商業その他の業務の利便を増進するため定める地域」と定義されています。
建ぺい率の限度は、原則として80%、容積率の限度は200%~1300%の範囲で指定されています。
建築できるもの
1.住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、図書館
2.幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、専修学校、病院、公衆浴場、老人ホーム
3.店舗等
4.事務所等
5.危険や環境悪化の恐れが少ない作業場面積が150平方メートル以下の工場
6.ホテル・旅館
7.ボーリング場・スケート場・ゴルフ練習場・カラオケボックス・パチンコ屋・麻雀屋等、映画館・劇場(、料理店、キャバレー、個室付浴場
8.自動車教習所
9.倉庫業の倉庫
建築できないもの
1.上記に挙げたもの以外の工場
神戸市中央区のエリアは、ほとんどが商業地域に指定されています。
準工業地域
「主として環境の悪化をもたらす恐れのない工業の利便を増進するため定める地域」と定義されています。
建ぺい率の限度は50%、60%、80%で容積率の限度は100%~500%の範囲で指定されています。
建築できるもの
1.住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、図書館
2.幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、専修学校、病院、公衆浴場、老人ホーム
3.店舗等
4.事務所等
5.工場(危険性が大きいか、または著しく環境を悪化させる恐れのある工場を除く)
6.ホテル・旅館
7.ボーリング場・スケート場・ゴルフ練習場・カラオケボックス・パチンコ屋・麻雀屋等、料理店、キャバレー
8.自動車教習所
9.倉庫業の倉庫
建築できないもの
1.個室付き浴場
2.危険性が大きいか、または著しく環境を悪化させる恐れのある工場
制限はほとんどございません。
工業地域
「主として工業の利便を増進するため定める地域」と定義されています。
建ぺい率の限度は原則50%または60%、容積率の限度は100%~400%の範囲で指定されています。
建築できるもの
1.住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、図書館
2.公衆浴場、老人ホーム
3.店舗等(床面積1万m²以下)
4.事務所等
5.工場
6.ボーリング場・スケート場・ゴルフ練習場・カラオケボックス・パチンコ屋・麻雀屋等(業種によっては床面積1万m²以下)
7.自動車教習所
8.倉庫業の倉庫
建築できないもの
1.幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、専修学校、病院
2.ホテル・旅館
3.映画館・劇場、料理店、キャバレー、個室付浴場
工業専用地域
「工業の利便を増進するため定める地域」と定義されています。
建ぺい率の限度は30%~60%、容積率の限度は100%~400%の範囲で指定されています。
建築できるもの
1.公衆浴場
2.店舗等(物販店、飲食店を除く)
3.事務所
4.工場
5.カラオケボックス等(床面積1万m²以下)
6.自動車教習所
7.倉庫業の倉庫
建築できないもの
1.住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、図書館
2.幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、専修学校、病院
3.老人ホーム
4.飲食店等
5.ホテル・旅館
6.ボーリング場・スケート場・ゴルフ練習場、パチンコ屋・麻雀屋、映画館・劇場、料理店、キャバレー、個室付浴場
まとめ
今回は用途地域の種類をついて紹介しました。
用途地域によって街の雰囲気が分かります。
ご希望の環境で素敵なマイホーム生活を送るために、是非用途地域を参考にしてみてください。
用途地域は細かく指定されていますので、購入する隣の土地は別の用途地域という可能性もあります。
インターネットで、「用途地域図」と検索すると、誰でも見ることができますので、確認してみましょう。
また、地域によって用途地域のみでは、どのような地域か完全に分かりません。
神戸市中央区で物件購入を検討されてましたら、神戸市中央区に特化しているTOANETへ是非ご相談くださいませ。
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TOANET株式会社
〒650-0004
兵庫県神戸市中央区中山手通3丁目10番6号
TEL:078-232-3339
コーポレートサイト
Q&A
Q一棟のマンションで2つの用途地域にまたがっていることはありますか?
Aはい。
稀にございます。ご不明な点ございましたら何なりとご相談くださいませ。
投稿者プロフィール
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前職は、不動産とは全く関係のない業界で働いていました。 不動産業に従事する父の影響もあり、またお客様の一大イベントである「マイホームの購入」にお立合いしたいと思い不動産業界に転職致しました。
不動産の知識としてはまだまだ勉強中の身です。 ですが、お客様一人ひとりに誠心誠意、情熱と丁寧さを持って接する気持ちだけは誰にも負けません。 気軽に声がけできる、安心できる不動産パートーナーになるまで、日々邁進致します。
お客様にとって住宅購入は、「一生の記憶」に残る経験です。 そんな人生の一大イベントを通じて、お客様に幸福をご提案できる、「宮脇さんから買って良かった」と思ってもらえるそんな営業マンになり、その後も不動産の相談者として一生のお付き合いができればと思います。
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